メビウスの輪の作り方


目次
メビウスの輪の形状の概念
メビウスの輪の作り方の概要
3DCGによるメビウスの輪の作り方
 1.下書き・同心円
 2.断面原型の作成
 3.断面形状の拡大表示
 4.断面形状のコピーを作る
 5.断面形状コピーを8個作る
 6.断面形状と下書き同心円の全体図
 7.最初のコピー断面を所定位置に配置する
 8.すべてのコピー断面を所定位置に配置する
 9.断面形状の対応する頂点同士をつなぐ
 10.断面形状の四つの頂点をすべてつなぐ
 11.メビウスの輪の8分割中の1区画目の形状を確認
 12.メビウスの輪の8分割中の2区画目の形状を確認
 13.メビウスの輪の8分割中の1区画目と2区画目の接続状態を確認
 14.メビウスの輪の8個の区画の接続状態を確認
 15.立体形状としてのモデリング
 16.形状のスムーズ化
 17.完成画像
 18.おまけ


メビウスの輪の形状の概念

・メビウスの輪とは、帯状の形状の両端を、180度ひねって接続することによって作られる「半ひねりされた輪」です。
・この輪の表面の任意の点を原点として、帯の縁(ふち)と平行に線を引いていくと行くと、1周目で原点の裏側に辿り着き、2周目で原点位置に戻るという特性を持ちます。
・上記特性によりメビウスの輪は、裏表の区別の無いリングということができます。
・メビウスの輪の模型は、簡単に作ることができます。画用紙を細く帯状に切り、半回転ひねって両端をセロファンテープなどでつなぐと出来上がります。
・メビウスの輪の構造を理解するには、このような模型を一つ作ってみることをおすすめします。手元に材料となる紙とセロファンテープがあれば、2、3分で作れますので。

メビウスの輪の作り方の概要

(この項は文章だけでは分かりにくいですが、後ほどスクリーンショットを交えて述べていくので、ざっと読み通してください)

3DCGでメビウスの輪を作るとき、この輪は、平面の方形ではなく、なにがしかの厚みをもった直方体の帯によって形作られることになります。
この「直方体の帯」の断面形状を、少しずつひねりながら、メビウスの輪を任意の大きさの円の円周に沿って、回転コピーさせて行けばメビウスの輪の外形が出来上がるはずです。
要点はひねりの合計が180度であることと、回転コピーしていった結果として任意の大きさの円の周囲を360度回転するということです。
たとえば断面形状の回転コピー時の回転角が45度単位とするなら、8回のコピーで1周(45×8=360)することになります。
またこの時、各コピー形状ごとに22.5度ひねっていけば、8回のコピーで丁度180度(22.5×8)ひねられることになります。
このようにして作られた8個の断面形状を、なだらかに接続立体化すれば、メビウスの輪が出来上がります。

3DCGによるメビウスの輪の作り方

1. 下書き・同心円

まず下書きとして、正面図の中央に三つの同心円を描きます。
大きい円は作られるメビウスの輪の外接円、中間の円は各断面の中心を通る円、小さい円はメビウスの輪の内接円になります。
大きい円と小さい円の半径の差がメビウスの輪の幅(断面の長辺)になります。
ここではそれぞれ円のの半径は50cm、40cm、30cmに設定しています。従って輪の幅は20cm(50cm-30cm)の設定です。

0000.jpg


2. 断面の原型の作成

右面図の中央下部に、上下を大きい円と小さい円に接した任意の幅の長方形を描きます。これがメビウスの輪の断面の原型です。
ここでは高さ(メビウスの輪の幅)は20cm、幅(メビウスの輪の厚み)は4cmに設定しています。

0001.jpg


3. 断面形状の拡大表示

同上、断面形状を拡大表示したところです。

0002.jpg


4.断面形状のコピーを作る

ここでは概要で述べた、断面形状8個で一周するメビウスの輪を作ることにします。輪は8分割で作画することになります。
まず、原型を22.5度(180÷8)回転させて断面のコピーを一つ作ります。

0003.jpg


5.断面形状コピーを8個作る

前項同様に22.5度ずつ回転させて8個のコピーを作ります。8個目のコピーは原型と同じ位置・角度で、これが原型断面との接続用断面になります。
この操作で、原型を含め9個の断面形状ができました。8分割なので合計8個でよさそうに思えますが、最後の1個は始点となる原型の断面と7個目のコピーを接続するために必要です。

0004.jpg


6.断面形状と下書き同心円の全体図

前項で作った1(原型)+8(コピー)=9個の断面形状と下書きの同心円の全体図です。

0005.jpg


7.最初のコピー断面を所定位置に配置する

ここまでは右面図上で作業してきましたが、ここからの作業は正面図上で行います。
正面図
上で、断面のコピーの一つ目を、「同心円の中心」を中心として45度回転して配置します。

0006.jpg


8.すべてのコピー断面を所定位置に配置する

 すべての断面形状を、前項同様に45度間隔で、コピーした順に配置していきます。

0007.jpg


9.断面形状の対応する頂点同士をつなぐ

各断面形状(長方形)の、対応する頂点を線でつないでいきます。最初の原型断面の右上から順につないでいくと、最終的に最後の断面(8個目のコピー=原型と同位置)の左下へとつながることになります。

0008.jpg


10.断面形状の四つの頂点をすべてつなぐ

前項同様にして断面形状の四隅をすべてつなぎ終えたところです。

0009.jpg


11.メビウスの輪の8分割中の1区画目の形状を確認

「原型断面と、最初のコピー断面と、4本の接続線とで囲まれた部分」は、下図のような六面体になります。

0010.jpg


12.メビウスの輪の8分割中の2区画目の形状を確認

「1つ目のコピー断面と、2つ目のコピー断面と、4本の接続線に囲まれた部分」は下図のような六面体になります。

0011.jpg


13.メビウスの輪の8分割中の1区画目と2区画目の接続状態を確認

前々項と前項の、二つの六面体は下図のような状態でつながっています。

0012.jpg


14.メビウスの輪の8個の区画の接続状態を確認

同様にして作った8個の六面体をすべてつなげた形状です。

0020.jpg



15.立体形状としてのモデリング

以上で作られた形状はあくまで面と線分の集まりなので、レンダリングしされるのは8個の断面形状のみで、リング状にはなりません。

実際にリング状の物体にするには、各々の区画の六面体に合わせて、ポリゴンなどで立体形状としてモデリングしたものをつなぎ合わせることになります。

Shadeの場合は、9個の断面形状をひとまとめに選択して自由曲面化指定す るという一操作でモデリングは完了し、ねじれたリング=メビウスの輪を作ることができます。
(ポリゴンでのモデリングは私には経験がないので、各自でご工夫願います)
下図はShadeで自由曲面化後にレンダリングしたものです。断面形状数が8個と少なめなので、カクカクした形になっていますが、一周目で裏返り、2周目で元に戻る裏表のないリングというメビウスの輪の特性は実現されてい ます。
勿論、リングの分割数を多くすればより滑らかなメビウスの輪を作ることができます。


0100.jpg


16.形状のスムーズ化

Shadeのモデリングで、自由曲面化した形状にスムーズ処理を施したところです。スムーズ化により、断面形状をつなぐ線が曲線になります。
※下図のブラウザ(図右端上)では断面形状の個数を分り易くする為、自由曲面を「閉じた線状形」にしていますが、スムーズ化は、自由曲面を「切り換え」て、「開いた線状系」にして実行します

0021.jpg


17.完成画像

スムーズ化後の形状のレンダリング出力画像です。これでメビウスの「輪」と呼べるなめらかな形状が一応完成しました。
後は断面形状の工夫(必ずしも長方形である必要はありません)、回転コピー回数の細分化、テクスチャーの工夫などで、より美しいメビウスの輪を作ることができます。
また、今回は同心円を下書きとして断面を円形に配置して作画しましたが、これも必ずしも円である必要はありません。
要は、この文章の最初に述べた「帯状の形状の両端を、180度ひねって接続する」 という原則さえ外さなければ、より多様なメビウスの輪を作ることができるでしょう。

0101.jpg



18.おまけ


Shade上で自由曲面をポリゴンに変換したものを、fbx形式でエクスポートし、Blenderでインポートしてみました。

[Shadeでのレンダリング画像](※前項までの作例からサイズ調整済(×4))
左から、細分化なし(元の8分割のまま)でポリゴン化(黄色)、標準細分化でポリゴン化(水色)、スムーズ化後高度細分化でポリゴン化したもの(ピンク)
0200.jpg

[インポート後Blenderでレンダリングした画像](※インポート後カメラ位置のみ調整。背景設定なし。)
0201.jpg

下のリンクはblender形式で保存し、zip形式に圧縮したファイルです。
※このファイルを解凍後のBlenderファイル(moebius-doc_poly.blend)はフリー素材とします。改変、絵画/イラスト作品への利用可能です。
moebius-doc_poly.zip

Blenderは操作法がわからないので、ダメダメな出力になっていますが、良かったらいじってみて下さい。


                                                2018/06/15 : m_kato




inserted by FC2 system